「閾値(LT)」を底上げする4つのトレーニングバリエーション

トレーニング理論

長距離種目において、記録向上の鍵を握るのが「閾値(LT)の改善」です。 閾値が上がると、同じペースでも余裕をもって走り続けることができ、後半の失速を防ぐことにつながります。

ただ、LTトレーニング=キツイ練習

というのも事実。

しかし、LTを鍛える方法はひとつではありません。強度やアプローチを工夫することで、無理なく継続しながら閾値を引き上げることが可能です。

(※閾値(LT)の仕組みやLT1とLT2の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。)
👉 [乳酸性作業閾値(LT)を鍛える!効果的な練習法とペース設定のポイント]

今回は、実践的に取り組める4つのトレーニングメニューと、その使い分けについて解説します。

LTトレーニングは1つではない

LTを高めると聞くと、閾値走(LT2ペース)を思い浮かべると思います。確かに、これは有効なトレーニングですが、

  • 強度が高く失敗しやすい
  • 一人で継続するのが難しい
  • 心理的ハードルが高い

という課題があります。

重要なのは、乳酸を出しながら消費する時間を確保するという点です。

閾値を引き上げるためのトレーニングは様々なものがあります。

LTを高める実践トレーニング

少し長めに走る「LT1を超えるペース走」

閾値走よりも少しゆったりとしたペースで、16km〜20kmほど長く走るトレーニングです。 目安は、フルマラソンのレースペースと同じか、1kmあたり10〜15秒ほど遅いペースです。

LT2の閾値走よりも心理的なハードルが下がり、失敗のリスクも少ないのがメリットです。強度が下がる分、走る距離を伸ばすことで「発生した少量の乳酸を、走りながらエネルギーに再利用する能力」をじっくりと養うことができます。

個人的にオススメなのはこの練習です。キツすぎず緩すぎないペースで長く走ることで、マラソンに繋がる持久力が身につくと考えています。

閾値走(LT2ペース走)

閾値改善といえば、このペース走が最も代表的です。 目安としては、ハーフマラソンのレースペースに近いペースで、20分〜30分(約5〜8km)走ります。

「キツいけれど、20〜30分ならなんとか維持できる」というペースです。閾値を引き上げる直接的な効果は高いですが、ペースが速いため、失敗してしまうリスクが高いトレーニングでもあります。

他のトレーニングで土台を作ったうえで取り入れたり、分割して実施するのが現実的です。

感覚で走る「ファルトレク(変化走)」

ファルトレクは、厳密な距離を決めず、地形やその日の感覚に合わせて「疾走(速く走る)」と「緩走(ジョグ)」を繰り返すトレーニングです。

ここで閾値改善のために最も重要なポイントは、「緩走」のペースを遅くしすぎないこと(歩いたり立ち止まったりしないこと)です。

一般的な「インターバルトレーニング」との違いは以下の通りです。

  • 一般的なインターバル: 限界に近いスピードで走り(VO2Maxの強化)、リカバリーは歩くなどしてしっかり息を整える。

  • 閾値改善のファルトレク: 疾走のペースを少し抑える代わりに、緩走中もある程度のペースを保ち走り続ける。

「やや速く走って適度に乳酸を出し、止まらずにジョグを続けながら、その乳酸をエネルギーに変換して処理する」というサイクルを繰り返すことで、閾値が底上げされます。(疾走ペースを抑え、短いジョグで繋ぐ「クルーズインターバル」などもこれと同じ効果を狙ったものです)。

トラック練習のように厳密なタイム設定がなくても、「次の信号までは少し速く(LT2ペース前後)、そのあとはいつものジョグペースで」といった形で繰り返すことで、いつものコースで効果的な閾値トレーニングが可能になります。

この練習では、トータルの走行距離と平均ペースを意識しましょう。継続していくなかで、走行距離が伸び、平均ペースが上がることで、体力向上を感じることができます。

*ファルトレクの方法については次の記事を参考にしてください。
👉ファルトレクとは?ランニングパフォーマンスを劇的に向上させる効果的なトレーニング法
👉【完全ガイド】corosアプリでファルトレク&インターバル設定!時間・距離を自由にカスタマイズする方法

自然と鍛えられる「丘陵地(起伏)でのペース走」

アップダウンのある丘陵地を走ることで、上り坂では心拍数が上がって乳酸が発生し、下り坂や平坦な道でそれを処理する(酸化させる)というサイクルが自然に生まれます。登り坂でペースを落とさず走ることがポイントとなります。

アップダウンを走ることで筋力トレーニングにもなるため、週末のロングランなどで、起伏のあるコースを選ぶのも効果的です。

トレーニングの使い分け

トレーニングは様々なバリエーションで取り組むのが大切です。同じ刺激ばかりではなく、刺激を変化させることで身体はより順応しやすくなります。

平日のサクッと刺激を入れたい日はファルトレク、週末など時間がある日は起伏走やLT1ペース走、トラック練習や練習会などでLT2ペース走

このように使い分けることで、より効果的に刺激をいれることができます。

まとめ

「閾値改善=キツい閾値走をしなければならない」と思い込んでいると、練習に苦手意識やストレスを感じ、継続が難しくなってしまいます。

しかし実際には、

  • 強度を少し抑えた練習
  • バリエーションを持たせたトレーニング

でも、十分に閾値を高めることは可能です。

重要なのは、継続できる形で刺激を入れ続けることです。

今回紹介したメニューをうまく組み合わせながら、自分に合った形でLT向上に取り組んでみてください。

なお、LTの仕組みやペース設定についてより深く理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

👉 [乳酸性作業閾値(LT)を鍛える!効果的な練習法とペース設定のポイント]

コメント

タイトルとURLをコピーしました