ファルトレクという言葉、聞いたことはあるでしょうか。海外で良く使われている練習で、最近は日本でも取り入れる人が増えています。ファルトレクは気軽にできてとても効果的な練習です。
この記事では、ファルトレクトレーニングとは何か、インターバルトレーニングとの違いを探ります。また、トレーニングにスパイスを加え、ランニングパフォーマンスを向上させるために効果的なファルトレクトレーニングの例も紹介します。
・ファルトレクの効果
・ファルトレクの練習例
・ファルトレクの発展編
ファルトレクとは
ファルトレクはもともとスウェーデン語で「速さ」と「遊び」を組み合わせたものです。英語では「スピードプレイ」と呼ばれており、ランニング中にペースを変える練習になります。ただ、インターバルトレーニングとは異なり、ファルトレクでは、ペースや距離を自由に調整することができます。そのため、取り組むためのハードルが低く、ファルトレクを通して、速いペースで長時間走る力を身につけることができます。
ファルトレクの効果
ファルトレクを行うと、ランニングスピード、持久力、全体的なフィットネスレベルが大幅に向上したという研究結果も出ています。
ファルトレクの効果をまとめると
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ペース適応力の向上:異なるペースを交互に行うことで、ペース変化に対する適応力が養われ、レースの中でのペース調整がしやすくなります。
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持久力の向上:高強度の区間と低強度の区間を交互に走ることで、心肺機能や筋肉の耐久性が鍛えられ、長時間走り続ける持久力が向上します。また、乳酸をエネルギーに変える力も養うことができます。
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精神的な強さを養う:ペースの変化を自分でコントロールできるため、精神的にも楽しく、飽きることなく練習が続けやすくなります。
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速筋と遅筋の両方を刺激:速いペースと遅いペースを交互に走ることで、速筋と遅筋の両方が鍛えられます。
このように様々な効果が期待できます。
ファルトレクは基礎構築期から特異期まで幅広く活用することができ、強度の高い練習の前後の日程でも取り入れることができます。レナートカノーバもこの練習が近年の重要な練習であるとしています。
ファルトレクとインターバルの違い
ファルトレクとインターバルはどちらもスピードと持久力を高めるためのトレーニング方法ですが、違う点もいくつかあります。それぞれの特徴と違いについて詳しく説明します。
1. トレーニングの構成
- ファルトレク
- ペースの変化が自由:ファルトレクでは、速いペースと遅いペースをランナー自身が自由に決めて交互に走ります。ペース変化に明確な時間や距離の制限はなく、環境や自分の体調に応じて調整します。
- 目安なし:例えば、坂道を登るときは速く、平坦な道ではリカバリー走(遅いペース)をする、といった柔軟性があります。
- インターバルトレーニング
- 明確な区間と強度:インターバルは、速いペースの走行(全力に近いペース)と回復期間を交互に繰り返すトレーニングで、各区間のペースや時間が事前に決められています。
- 時間・距離が固定:例えば、400mを全力で走り、その後に200mウォーキングまたはジョギングで回復する。といったように、強度と休憩の時間が固定されているのが特徴です。
2. ペースの設定
- ファルトレク:
- 速いペース、遅いペースともに決められたペースや時間、距離は決まっておらず、自由に設定できます。
- インターバル:
- 速いペースは全力に近いスプリント、またはそのレースペースより速いペースで設定します(例えば、800mを目標ペースで走る)。
- リカバリーもきっちりと決まっており、速いペースで走った分と同じ時間、または決まった距離だけ回復期間を設けます。例えば、400m走った後に200mジョギングなど。
3. トレーニングの目的
トレーニングの目的はファルトレクもインターバルも同じで、持久力の向上、VO2Maxの向上、乳酸を活用する力の向上が期待できます。
ファルトレクの練習例
時間も距離も自由に設定できるファルトレクですが、目安がないと考えるのも大変なのでファルトレクのメニュー例をいくつか紹介します。
最初はペースを自由に実施して良いのですが、練習に慣れてきたり目標タイムが明確になってきたら、ペース設定をした方が狙った効果を得やすいと思います。そのあたりも参考に記載しておきます。
① 時間を基準にしたファルトレク
<同じ時間の繰り返し>
1分~2分の疾走と30秒~1分のリカバリーの組み合わせ
20×(1分-30秒)や15×(1分-1分)、10×(2分-1分)、15×(30秒-30秒)
ペース目安:疾走区間はレースペースの105%(10~15秒速く)、リカバリーは普段のジョグ程度
<階段状の時間設定>
7×(3分ー2分ー1分)リカバリーはすべて1分
ペース例:疾走区間はレースペースの100%/105%/107%、リカバリーは普段のジョグ程度
② 周囲の環境を使ったファルトレク
信号や道路の区切り、電柱などを使ってペースを上げ下げする。坂のあるコースの場合、坂道はペースを上げ、平坦なところはペースを落とす。
時間、場所、距離などを自由に変えながら実施することができるトレーニングです。やりやすいところから取り入れてみてはどうでしょうか。
ファルトレクのステップアップ
これまで、ファルトレクのメリットや練習方法について説明してきました。
ここでは、ステップアップとして、より効果を得るための方法を紹介します。
ファルトレクを行う際に気を付けたいのがリカバリーのペース。このペースを落とし過ぎるとあまり効果が狙えないと感じています。楽なペースとは難しい表現で、人によって感じ方は様々です。ファルトレクのリカバリーはダニエルズのEペース。レースペースの70%付近でリカバリーするのが良いと思います。遅すぎると回復しすぎてしまい、疾走区間の効果が薄くなってしまいます。
疾走区間のペースを変えずにリカバリーペースを徐々に上げていくことができれば、かなりの実力アップにつながります。しんどくない練習として広まっているファルトレクですが、きっちりやると結構キツイ。ですが、それは慣れてきてからの話です。
初心者の方は、②のようなファルトレクから始めてみましょう。まずは、しっかりとペースを上げる感覚をつかみましょう。リカバリーはゆっくりで大丈夫です。本数の目安は、最初はペースを上げて走る時間のトータルがで10分程度でも良いですが、慣れてきたら15~20分程度になるように本数を調整しましょう。
②ができるようになってきたら、①のように疾走時間が決まったファルトレクも取り入れてみましょう。
まとめ
ファルトレクトレーニングは、持久力、スピード、および全体的なフィットネスを構築するための効果的な方法です。これまでジョグ中心だった練習に何かワンポイント加えるのであれば、ファルトレクをおススメします。
簡単なところから実施してみて、その効果を実感してください!
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