ファルトレクとは?ランニングパフォーマンスを劇的に向上させる効果的なトレーニング法

トレーニング理論

ファルトレクという言葉を聞いたことがありますか?海外でよく使われる練習法で、最近では日本でも取り入れるランナーが増えてきています。ファルトレクは、気軽にできてとても効果的なトレーニング方法です。

この記事では、ファルトレクトレーニングとは何か、インターバルトレーニングとの違いを探りながら、ランニングパフォーマンスを向上させるための効果的なファルトレクトレーニングの例も紹介します。

・ファルトレクとは何か
・ファルトレクの効果
・ファルトレクの練習例
・ファルトレクの発展編

ファルトレクとは

ファルトレクは、もともとスウェーデン語で「速さ」と「遊び」を組み合わせた言葉で、英語では「スピードプレイ」と呼ばれています。これはランニング中にペースを変えるトレーニング方法ですが、インターバルトレーニングとは異なり、ペースや距離を自由に調整できます。これにより、取り組むためのハードルが低く、速いペースで長時間走る力を身につけることが可能になります。

 

ファルトレクの効果

ファルトレクを行うことで、ランニングスピード、持久力、全体的なフィットネスレベルが大幅に向上したという研究結果もあります。
ファルトレクの効果は以下のようにまとめられます。

  1. ペース適応力の向上
    異なるペースを交互に走ることで、ペース変化への適応力が養われ、レースの中でのペース調整がしやすくなります。

  2. 持久力の向上
    高強度の区間と低強度の区間を交互に走ることで、心肺機能や筋肉の耐久性が鍛えられ、長時間走り続ける持久力が向上します。また、乳酸をエネルギーに変える力も養うことができます。

  3. 精神的な強さを養う
    ペースの変化を自分でコントロールできるため、精神的にも楽しく、飽きることなく練習を続けやすくなります。

  4. 速筋と遅筋の両方を刺激
    速いペースと遅いペースを交互に走ることで、速筋と遅筋の両方が鍛えられます

このように、ファルトレクにはさまざまな効果が期待できます。

ファルトレクは基礎構築期から特異期まで幅広く活用でき、強度の高い練習の前後にも取り入れることができます。レナート・カノーヴァもこの練習が近年の重要な練習法であるとしています。

ファルトレクとインターバルの違い

ファルトレクとインターバルはどちらもスピードと持久力を高めるためのトレーニング方法ですが、いくつか異なる点があります。それぞれの特徴と違いについて詳しく説明します。

1. トレーニングの構成

  • ファルトレク
    ペースの変化が自由です。ファルトレクでは、速いペースと遅いペースをランナー自身が自由に決めて交互に走ります。ペース変化に明確な時間や距離の制限はなく、環境や自分の体調に応じて調整できます。例えば、坂道を速く走り、平坦な道では遅いペースでリカバリーするなど、柔軟性があります。
  • インターバルトレーニング
    明確な区間と強度が設定されています。インターバルは、速いペースの走行(全力に近いペース)と回復期間を交互に繰り返すトレーニングで、各区間のペースや時間が事前に決められています。例えば、400mを全力で走り、その後に200mウォーキングまたはジョギングで回復する、といったように、強度と休憩時間が固定されているのが特徴です。

2. ペースの設定

  • ファルトレク
    速いペース、遅いペースともに決められたペースや時間、距離はなく、自由に設定できます。
  • インターバル
    速いペースは全力に近いスプリント、またはそのレースペースより速いペースで設定します(例えば、800mを目標ペースで走る)。リカバリーもきっちりと決まっており、速いペースで走った分と同じ時間、または決まった距離だけ回復期間を設けます。

3. トレーニングの目的

ファルトレクとインターバルのトレーニング目的は共通しており、持久力の向上、VO2Maxの向上、乳酸を活用する力の向上が期待できます。

ファルトレクの練習例

ファルトレクは時間や距離を自由に設定できますが、設定に悩むこともあるため、いくつかのメニュー例を紹介します。最初はペースを自由に実施しても良いですが、練習に慣れてきたら目標タイムを意識したペース設定をした方が効果的です。

① 時間を基準にしたファルトレク

  • 同じ時間の繰り返し
    1分〜2分の疾走と30秒〜1分のリカバリーの組み合わせ
    例: 20×(1分疾走-30秒リカバリー)、15×(1分疾走-1分リカバリー)、10×(2分疾走-1分リカバリー)
    ペース目安:疾走区間はレースペースの105%(10〜15秒速く)、リカバリーは普段のジョグ程度

  • 階段状の時間設定
    7×(3分疾走-2分疾走-1分疾走)リカバリーはすべて1分
    ペース目安:疾走区間はレースペースの100%/105%/107%、リカバリーは普段のジョグ程度

 

② 周囲の環境を使ったファルトレク

信号や道路の区切り、電柱などを使ってペースを上げ下げします。坂道があるコースでは坂道を速く走り、平坦な場所ではペースを落とすことができます。時間、場所、距離などを自由に調整しながら実施できるトレーニングです。

 

ファルトレクのステップアップ

ファルトレクをさらに効果的に行うためのステップアップ方法を紹介します。

まず、リカバリーペースに注意が必要です。このペースを落としすぎると効果が薄くなるため、リカバリーはダニエルズのEペース(レースペースの70%)くらいに設定するのが理想的です。遅すぎるリカバリーは回復しすぎて、疾走区間の効果が薄れます。

疾走区間のペースを変えずにリカバリーペースを徐々に上げていくことができれば、実力が大きく向上します。

初心者の方は、周囲の環境を使ったファルトレクから始めて、ペースを上げる感覚をつかみましょう。リカバリーはゆっくりで大丈夫です。本数の目安は、最初はペースを上げて走る時間の合計が10分程度でも構いません。慣れてきたら、15〜20分程度になるように本数を調整しましょう。

 

まとめ

ファルトレクトレーニングは、持久力、スピード、全体的なフィットネスを向上させるための効果的な方法です。これまでジョグ中心だった練習に変化を加えたいのであれば、ファルトレクを試してみましょう。

簡単なところから取り入れ、その効果を実感してみてください!

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