フルマラソンに挑む人のための疲労回復方法

はじめに

フルマラソンで記録を伸ばすためには、質の高いトレーニングを継続して積み重ねることが欠かせません。
しかし、その土台となるのは「疲労からの回復力」です。練習で生じた疲労をできるだけ早く取り除き、次の練習に臨める体をつくることが、記録向上のカギとなります。

トレーニング内容や走行距離をSNSで共有する人は多いですが、リカバリーは意外とおろそかになりがちです。
本記事では、ランナーにぜひ実践してほしい疲労回復法を紹介します。

疲労と疲労感の違いを知ろう

まず大切なのは、「疲労」と「疲労感」」を区別することです。

  • 疲労:身体の疲れそのもの。痛み・発熱・疲労は“三大生体アラート”と呼ばれます。

  • 疲労感:だるさやおっくうさといった自覚症状。身体が「休んでほしい」と送るサインです。

注意すべきなのは、疲労感はカフェインや責任感でマスキングされることがある点です。そのまま無理を続けると疲労が蓄積し、ケガや不調の原因となります。
「疲労感を感じる=身体が疲れている」という認識を持ちましょう。

疲労は筋肉だけが原因ではない

疲労の原因は、単に「走りすぎ」だけではありません。

  • 暑さや睡眠不足

  • 栄養の偏り

  • 精神的ストレス(不安や人間関係など)

こうした要因が積み重なると、「練習が続かない」「以前より疲労感が強い」といった状態を引き起こします。
トレーニングだけでなく、生活全般のストレスを減らすことも疲労回復には欠かせません。

練習直後のリカバリー

練習後は、すぐにリカバリーへ切り替えましょう。特に練習後30分以内のゴールデンタイムは、栄養補給の効果が最も高まる時間帯です。

  • おすすめ補食例:牛乳+バナナ+きな粉のスムージー

糖質とタンパク質をバランスよく摂ることで、筋肉修復がスムーズになり、疲労軽減につながります。

夏場はアイシングで筋温を下げる

暑い季節は、練習後に体を冷やして筋温を下げるのが効果的です。
筋温が下がると心拍数の回復も早まると報告されています。

  • 方法:保冷剤や流水で10〜15分程度

  • 注意点:冷やしすぎは逆効果

食事で意識したいポイント

練習直後の補食は補助的なもの。基本は毎日の 三食のバランス です。

  • 主食(ごはん・パン・麺類)

  • タンパク質(肉・魚・卵・乳製品・大豆製品)

  • 野菜や果物

さらに、抗酸化作用を持つ ビタミンA・C・E を意識すると疲労回復をサポートしてくれます。
(例:にんじん、ピーマン、ブロッコリー、ナッツ類)

日中の疲労回復法

日中の過ごし方を少し工夫するだけでも、疲労の蓄積を防ぎ、次の練習への準備がしやすくなります。

  • 仮眠(パワーナップ)
     昼間に15〜20分の短い仮眠をとると、脳と身体のリフレッシュに効果的です。
     30分以上眠ると深い眠りに入り、かえって起きた後にだるさを感じることがあるため注意しましょう。仮眠後はコーヒーやお茶を飲むと、ちょうど覚醒効果が高まりやすくなります。

  • デスクワーク中の工夫
     長時間座ったままでいると血流が悪くなり、下半身に疲労がたまりやすくなります。
     1時間に1回は立ち上がり、ふくらはぎや太ももを軽く伸ばしましょう。椅子に座ったままでも、かかとの上げ下ろし(カーフレイズ)を数回行うだけで血流が改善されます。これだけでも、夕方の疲労感が大きく変わります。

  • こまめな水分補給
     日中は意識しないと水分が不足しがちです。喉が渇く前に少しずつ補給することがポイント。特にエアコンの効いた室内では体感的に乾燥を感じにくいため、机に水筒やボトルを置いて意識的に飲むようにしましょう。

夜のリカバリー習慣

夜は1日の疲れをまとめて回復できる、最も大切な時間帯です。質の高い休養を意識することで、翌朝の体の軽さが変わってきます。

  • 入浴
     夏場でもシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯に10〜15分浸かりましょう。水圧によって血流が促進され、疲労物質の排出がスムーズになります。お湯の温度は38〜40℃程度が理想で、リラックス効果も高まります。

  • ストレッチやセルフマッサージ
     入浴後は体が温まり、筋肉がほぐれやすい状態です。太ももやふくらはぎを中心にストレッチを行いましょう。
     フォームローラーやマッサージボールを使って筋膜リリースを行うのも効果的です。やりすぎると逆に筋肉を痛める可能性があるため、「気持ちいい」と感じる範囲で行うことが大切です

リカバリーの主役は「睡眠」

リカバリーの主役はやはり睡眠です。睡眠中には、トレーニングで傷ついた筋肉を修復し、エネルギーを回復させる成長ホルモンが分泌されます。睡眠をおろそかにすると、せっかくの練習効果も十分に発揮されません。

  • 就寝前はスマホやPCのブルーライトを避ける

  • 部屋の明かりを落として副交感神経が優位になる環境を整える

  • 室温は夏なら26℃前後、冬なら18〜20℃が理想

栄養補給・水分補給・入浴・ストレッチなど、日々の工夫で疲労を軽減することは可能ですが、最も大きな効果をもたらすのは 睡眠 です。

「今日は眠ることも練習の一部」と考え、積極的に睡眠時間を確保しましょう。

まとめ|疲労回復も練習のうち

フルマラソンで記録を伸ばすためには、トレーニングだけでなく「いかに疲労を回復できるか」が鍵になります。

  • 疲労と疲労感の違いを理解する

  • 練習直後の補食やアイシングで早めのリカバリー

  • 栄養バランスと抗酸化ビタミンを意識する

  • 日中の仮眠や水分補給で疲労の蓄積を防ぐ

  • 夜は入浴・ストレッチ・質の高い睡眠でリセットする

毎日の小さな工夫を積み重ねることで、翌日の体の軽さが変わり、トレーニングの質も高まります。
疲労回復は「走る力」を引き出すための大切な準備。ぜひ今日から実践してみてください。

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