夏のランニングでは、練習後のリカバリーがとても重要です。暑さの中での運動は体に大きな負担がかかるため、エネルギー補給や体調管理を怠ると「夏バテ」につながり、トレーニングの継続が難しくなることも。
今回は、夏場のトレーニングを乗り切るために知っておきたい「回復のポイント」と「おすすめの食事」について紹介します。
なぜ夏は回復が難しいのか?
暑さによって体温が上がると、体は熱を逃がそうと血液を体表に集めます。その結果、内臓への血流が減少し、消化吸収機能が低下します。さらに冷たい飲み物の摂りすぎで胃腸が冷えてしまうと、それによっても胃腸の働きが低下。その結果、食欲が落ちて栄養補給が不十分になってしまいます。
これが「夏バテ」の状態。こうなると回復が遅れてしまいます。
夏バテを防ぐ3つのポイント
① 冷たい飲み物を摂りすぎない
暑さで火照った体に、冷たい飲み物はとても魅力的に感じますよね。しかし、冷たい飲み物を過剰に摂取すると、胃腸の働きが低下し、消化不良や食欲不振を招く原因になります。
胃腸の機能が落ちると、必要な栄養素がうまく吸収されず、回復が遅れてしまうため、トレーニングの成果も出にくくなってしまいます。
対策:
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水分補給はなるべく常温のものを選ぶ
冷たいものは体を一時的に冷やしますが、胃腸への負担が大きく、長期的には逆効果です。スポーツドリンクや水は常温に近い温度で摂るのが理想的です。 -
体温を下げたいときは「体の外側」を冷やす
脇の下や太ももの付け根など、太い血管が通る部位を冷やすことで効率的に体温を下げられます。氷や冷却タオルなどを活用しましょう。 -
練習中は水を“飲む”だけでなく“かける”のも有効
暑さが厳しい日は、冷たい水を首や頭などにかけることで体温が下がり、練習の質を保つことができます。特に直射日光下では「こまめに冷やす工夫」が効果的です。
ポイントは、“体の内側ではなく外側を冷やす”意識を持つこと。
冷たいものに頼りすぎず、賢く暑さと付き合っていきましょう。
② 冷房や入浴で体温と自律神経のバランスを整える
暑さで体温が上がると、体は発汗によって熱を逃がそうとします。このとき、交感神経が活発に働きますが、交感神経が優位な状態が長く続くと、内臓の働きが抑制され、胃腸の調子が悪くなる原因になります。
特に、日中ずっと暑さの中で過ごしていると、交感神経優位の状態が慢性化し、疲れやすさや夏バテにつながります。
対策:
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エアコンを活用して、室内の温度と湿度を快適に保つ
無理に我慢せず、適切に冷房を使うことで体温上昇を防ぎ、交感神経が優位な状態を抑えられます。
※目安としては室温25〜27℃、湿度50〜60%程度が快適です。 -
就寝前はぬるめのお風呂に浸かる
38〜40℃ほどのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、心身がリラックス。内臓の働きも回復しやすくなります。エアコンによる冷えをリセットする意味でも効果的です。
③ 食欲がなくても食事を抜かない
暑さとハードなトレーニングのダブルパンチで、練習後に食欲が出ないというのは夏によくあることです。特に、内臓も疲労している状態では、食事を摂る気になれない日もあるでしょう。
しかし、ここでしっかり栄養を補給しなければ、筋肉の回復やエネルギーの再合成が行われず、トレーニング効果が半減してしまいます。
また、慢性的な栄養不足は疲労の蓄積やケガのリスクを高める要因にもなります。
対策:
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食欲がなくても「軽くでもいいから何か食べる」意識を持つ
ゼリー飲料やおにぎり、冷たいスープ、果物など、食べやすいものからでも構いません。少量でも栄養補給することで、回復を助けます。特に、練習後はできるだけ早くゼリー飲料などでエネルギーを補給するようにしましょう。 -
冷たくて食べやすい食材を活用する
夏野菜や冷やしうどん、具だくさんの冷製スープなどは、のど越しがよく、栄養も補給しやすいためおすすめです。 -
普段どおりの食事を意識しつつ、無理せず「補食」を活用する
食事がしっかりとれないときは、間食やリカバリードリンクなどを活用して、トータルで必要なエネルギーと栄養を摂る工夫を。
暑さで食事量が落ちる夏こそ、「食べることもトレーニングの一部」と捉えて、無理のない範囲でしっかり栄養補給を続けていくことが大切です。
🍴 夏におすすめのリカバリーメニュー
続いては、暑い季節にぴったりのリカバリーメニューをご紹介します。
どれも手軽に作れて、しっかり栄養補給できる優秀メニューばかり。ぜひ、今夜の献立の参考にしてみてください。
■ ゴーヤーチャンプルー
(豚肉・ゴーヤ・豆腐・卵)
ビタミンB1が豊富な豚肉は、糖質をエネルギーに変える代謝をサポート。豆腐と卵には良質なたんぱく質が含まれており、筋肉の回復にも効果的です。ビタミンCを含むゴーヤも加わることで、夏に必要な栄養素をバランスよく補える理想的な一品です。
■ カツオのたたき
カツオには、高たんぱく・低脂質というアスリートに嬉しい特徴があり、さらに吸収されやすいヘム鉄も豊富。貧血予防や持久力の維持に役立つため、季節を問わず積極的に取り入れたい魚です。玉ねぎスライスや薬味を添えて、さっぱりといただけます。
■ ほうれん草の胡麻和え
(ほうれん草・ゴマ)
鉄分・カリウム・マグネシウムなど、汗で失われやすいミネラルをしっかり補える栄養豊富な副菜です。ゴマに含まれるマグネシウムも、筋肉のけいれん予防に役立ちます。作り置きもできるので、冷蔵庫に常備しておくと便利です。
■ 麦茶
夏の定番ドリンク、麦茶はノンカフェインで体にやさしく、水分補給にも最適。少量ながらミネラルも含まれており、日常的な水分摂取にぴったりです。市販のさまざまな銘柄を飲み比べて、お気に入りの味を見つけるのも楽しみのひとつですね。
まとめ|夏こそ“回復力”を意識したトレーニングを
夏は、思うように走れなかったり、体調を崩しやすかったりと、コンディション管理が難しい季節です。
しかし、リカバリーと食事を工夫することで、体調を整えながら質の高いトレーニングを継続することが可能になります。
秋のレースシーズンに向けて力を蓄える夏にするためにも、体調管理と栄養補給を意識した食事で、しっかりと夏バテ対策をしていきましょう。
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